雑記という名の

本当に思ったことを雑に書いていきます かなり不定期

寄生獣のアニメに思う「メディア化」の在り方

 あの傑作漫画「寄生獣」がアニメ化すると聞いて最初は期待とともに不安があった。寄生獣は連載時に追っていたわけでは無いが評判を受け後で読んでかなり感銘を受けた記憶が残っていた。しかしこの作品は名作漫画にたがわず「漫画」という媒体で完ぺきなほど完成しておりそもそもメディアミックスに向いていないのではないかと思っていた。そんな中公開されたキャラクターデザインには私も衝撃を受けた。

f:id:dcdkdpv:20141020182912j:plain

原作の絵柄からかなり大胆な変更がなされ主人公もメガネをしているなどキャラクターから差異がある。これに私は相当なショックを受け、アニメ版の視聴は正直気が進まなかった。

 ところがアニメ版を見るとなるほどこれはその他の原作改変アニメとはまた違う戦略的な改変であると感じた。まず原作が20年以上前のものであるため時代設定を変更し現代化してある。と同時に主人公新一のキャラクターが原作の少し突っ張った感じから現代のありふれた少年として描かれがちな気弱で消極的な設定となっている。これに合わせ前述のようにメガネをしていたり一人称が「俺」から「ぼく」に変更されているほかセリフやその言い方などかなり細かい範囲まで改変されている。このことから、製作者側は明らかに「現代版寄生獣」を描きたいという意図が見て取れる。これは寄生獣がもつメッセージ性を伝える手段としては私は「アリ」だと考える。作画も丁寧でミギーが自由に動くさまなどはとても心地よく感じた。一部で危惧されていたキャスティングもミギーをマスコットとして打ち出す魂胆が透けて見えなくもないが想像していたよりは違和感もなく無機質な感じが出せていたと思う。

 しかし、万事OKとはいいがたいと思う。第二話に顕著だがこのアニメは音楽の使い方が残念であるように感じる。好みの差もあるだろうがコミカルな部分のおどけた調子や緊迫したシーンのやけに仰々しい音楽は元々に原作の乾いた雰囲気にはあっていないと感じるのだ。アニメは前述の通り原作と雰囲気を変えるように意図的に演出しているがそれでもシーンなどはかなり再現されているため違和感がぬぐいきれないのである。OPEDもバップ特有のタイアップでやはりイメージとは異なる。

 というわけでアニメはかなり健闘しているが原作の販促という意味ではこちらの非公式MADのほうがよっぽど効果的ではないかと思ってしまう次第である。

 


【MAD】寄生獣【ネタバレあり】 ‐ ニコニコ動画:GINZA